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東京地方裁判所 平成4年(特わ)1421号 判決 1992年12月22日

本店所在地

東京都江戸川区南小岩四丁目一三番三号

南武建設

株式会社

(旧商号 知念興業株式会社)

右代表者代表取締役

知念辰昇

本籍

東京都江戸川区南小岩四丁目一三番

住居

東京都江戸川区南小岩四丁目一三番三号

会社役員

知念辰昇

昭和二四年一二月一九日生

右両名に対する各法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官蝦名俊晴、弁護人高中正彦、同松島幸一各出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告会社南武建設株式会社を罰金三五〇〇万円に、被告人知念辰昇を懲役一年六月にそれぞれ処する。

被告人知念辰昇に対し、この裁判の確定した日から三年間右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告会社南武建設株式会社(旧商号は知念興業株式会社で起訴後の平成四年一〇月一日に商号変更。以下、被告会社という)は、東京都江戸川区南小岩四丁目一三番三号に本店を置き、鉄筋加工及び組立取付工事等を目的とする資本金一〇〇〇万円(昭和六三年一〇月一四日以前は資本金三〇〇万円)の株式会社であり、被告人知念辰昇は、被告会社の代表取締役(平成二年六月一一日から同四年五月三一日までの間は被告会社の取締役であるとともに実質経営者)として、被告会社の業務全般を統括しているものであるが、被告人知念辰昇は、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、架空外注費を計上するなどの方法により所得を秘匿したうえ

第一  昭和六二年一〇月一日から同六三年九月三〇日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が一億四五三三万八七六六円(別紙一の修正損益計算書のとおり)であったのにかかわらず、同年一一月三〇日、東京都江戸川区平井一丁目一六番一一号所轄江戸川税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が一三六三万六一八〇円で、これに対する法人税額が四六三万〇六〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により、被告会社の右事業年度における正規の法人税額五九九四万五四〇〇円と右申告税額との差額五五三一万四八〇〇円(別紙二の脱税額計算書のとおり)を免れ

第二  昭和六三年一〇月一日から平成元年九月三〇日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が二億三一〇三万七八九一円(別紙三の修正損益計算書のとおり)であったのにかかわらず、同年一一月三〇日、前記江戸川税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が三二六一万二五二三円で、これに対する法人税額が一二六〇万三〇〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により、被告会社の右事業年度における正規の法人税額九、五九四万一五〇〇円と右申告税額との差額八三三三万八五〇〇円(別紙四の脱税額計算書のとおり)を免れ

第三  平成元年一〇月一日から同二年九月三〇日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が七七〇七万四三七六円(別紙五の修正損益計算書のとおり)であったのにかかわらず、同年一一月三〇日、前記江戸川税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が四四九六万二〇四八円で、これに対する法人税額が一六八一万三七〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により、被告会社の右事業年度における正規の法人税額二九六五万八五〇〇円と右申告税額との差額一二八四万四八〇〇円(別紙六の脱税額計算書のとおり)を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示全事実につき

一  被告人知念辰昇の当公判廷における供述

一  被告人知念辰昇の検察官に対する各供述調書(検乙一、二、四ないし一〇)

一  知念悦子、松本信夫、須藤一、岩楯隆司の検察官に対する各供述調書

一  大蔵事務官作成の材料仕入高調査書(検甲三)

一  大蔵事務官作成の厚生費調査書(検甲四)

一  大蔵事務官作成の外注加工費調査書(検甲五)

一  大蔵事務官作成の事務員給与調査書(検甲七)

一  大蔵事務官作成の受取利息割引料調査書(検甲八)

一  大蔵事務官作成の都民税利子割調査書(検甲一三)

一  検察事務官作成の捜査報告書(検甲一四)

一  検察事務官作成の電話聴取書(検甲二〇)

一  大蔵事務官作成の領置てん末書(検甲二二)

一  登記官作成の各登記簿謄本(検乙一一、弁一)

一  登記官作成の各閉鎖登記簿謄本(検乙一二、一三)

判示第一、第二の各事実につき

一  被告人知念辰昇の検察官に対する供述調書(検乙三)

一  大蔵事務官作成の売上高調査書(検甲一)

一  検察事務官作成の各捜査報告書(検甲二、六)

判示第一の事実につき

一  押収してある法人税確定申告書(六三/九期)一袋(平成四年押第一一八三号の1)

判示第二、第三の各事実につき

一  大蔵事務官作成の有価証券売却益調査書(検甲一〇)

一  大蔵事務官作成の支払利息割引料調査書(検甲一一)

一  大蔵事務官作成の貸倒金調査書(検甲一二)

判示第二の事実につき

一  押収してある法人税確定申告書(元/九期)一袋(前同押号の2)

判示第三の事実につき

一  知念辰孝の検察官に対する供述調書

一  検察事務官作成の捜査報告書(検甲九)

一  押収してある法人税確定申告書(二/九期)一袋(前同押号の3)

(法令の適用)

被告人知念辰昇の判示各所為は、いずれも法人税法一五九条一項に該当するので、各所定刑中いずれも懲役刑を選択し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから同法四七条本文、一〇条により犯情の最も重い判示第二の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で被告人知念辰昇を懲役一年六月に処し、情状により同法二五条一項を適用してこの裁判の確定した日から三年間右刑の執行を猶予する。

被告人知念辰昇の判示各所為は、いずれも被告会社の業務に関してなされたものであるから被告会社についてはいずれも同法一六四条一項により同法一五九条一項の罰金刑に処せられるべきところいずれも情状により同条二項を適用し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四八条二項により各罪所定の罰金を合算した金額の範囲内で被告会社を罰金三五〇〇万円に処することとする。

よって、主文のとおり判決する。

(求刑・被告会社に対し罰金五〇〇〇万円、被告人知念辰昇に対し懲役一年六月)

(裁判官 伊藤正髙)

別紙一 修正損益計算書

<省略>

別紙一の2 修正製造原価報告書

<省略>

別紙二 脱税額計算書

<省略>

別紙三 修正損益計算書

<省略>

別紙三の2 修正製造原価報告書

<省略>

別紙四 脱税額計算書

<省略>

別紙五 修正損益計算書

<省略>

別紙五の2 修正製造原価報告書

<省略>

別紙六 脱税額計算書

<省略>

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